
融資審査への影響は?税金滞納その他の生活維持費の支払い遅れ解説
創業融資と税金・生活維持費の関係は?
「住民税を滞納しているけど創業融資申請は可能か」
「家賃を複数回滞納したことがある」
「公共料金の滞納も融資審査に影響するのか」
創業融資で否決につながる理由の一つが、税金・家賃・公共料金等の支払い状況です。
この記事では、税金滞納が創業融資審査に与える影響を中心に、日本政策金融公庫の利用可否、過去の滞納・分納中の扱い、家賃・公共料金その他生活維持費の支払い遅れとの関係について解説します。
執筆・監修:行政書士 𠮷岡 秀充
※ このページは「創業融資で否決につながる主な理由」のうち、「税金・家賃・公共料金等の支払い状況」にあたる個別解説ページです。
創業融資全体の流れ・申込み前のご相談については、戦略型創業支援コンサルティング-創業融資相談・申請サポートをご覧ください。
- 税金滞納は創業融資の否決につながる?
- 税金滞納があると日本政策金融公庫は利用できない?
- 家賃・公共料金・その他生活維持費の支払い遅れ
- 税金滞納・支払い遅れのよくある質問
- 併せて確認-関連解説|創業融資で否決につながる主な理由
- まとめ|税金滞納による否決を予防・完納後の対策
税金滞納は創業融資の否決につながる?

税金の滞納は、創業融資の否決につながる重要な要因の一つです。
創業融資では、創業計画の収益性や返済見込みだけでなく、申込者本人の資金管理状況なども確認されます。
税金の滞納がある場合、納税義務を履行できていないことに加えて、今後の資金繰りや借入金の返済に影響する可能性があると判断されやすくなります。
創業融資において確認したい税金の種類
例えば、以下のような税金があります。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税
- 自動車税・軽自動車税
- 消費税・地方税
- 法人税・法人住民税・法人事業税
- 源泉所得税
実際に確認の対象となる税金は、申込者の事業形態や納税義務などによって異なります。
また、法人も創業融資の対象となることがあるため、法人特有の税金も確認が必要です。
同時に確認したい税金・又は税金に近い性質
例えば、以下のようなものがあります。
- 国民健康保険料(国民健康保険税)
- 国民年金保険料
- 社会保険料(健康保険・厚生年金保険)
- 労働保険料(労災保険・雇用保険)
税金と同様、申込者の状況により確認が必要です。
税金等の滞納が融資審査に影響する理由
税金を滞納している場合、金融機関としては、例えば次のような懸念が生じます。
- 国民の義務である税金を納付するだけの資金が確保できていない
- 滞納税額の支払いが創業後の資金繰りを圧迫する可能性
- 借入金の返済を継続できるかという懸念
- 滞納処分による財産の差押え等のリスク
日本政策金融公庫や自治体の制度融資(信用保証協会付き融資等)は、国民や住民が納めた税金を原資とし、信用の裏付けとして成り立っています。
そのため、公的義務である税金を納めていない人に対して、税金によって支えられている融資制度を利用させることは、制度の趣旨や公平性の観点から認められません。
また、特に注意したいのは、税金の滞納が長期化し、預金や財産の差押えに至る可能性があることです。国税徴収法や地方税法等に基づく滞納処分が行われると、開業するための資金や事業運営を圧迫します。
税金等の滞納がある場合は、創業融資申請前に、完納が必須となります。
過去に税金を滞納していたが、現在は完納している場合
過去に住民税や所得税等を滞納していても、すでに全額を納付している場合は、現在も滞納している場合とは状況が異なります。
例1)毎月末日に遅れが無く税金等を支払っている人が、30日にインフルエンザにかかり支払いが遅れ、翌月5日に支払った。支払い完了後の10日に創業融資申請を行う場合。
△ この場合、不可抗力及び回復後の完納が早いため、創業融資の審査への影響はほぼないでしょう。
例2)毎月末日に遅れが無く税金等を支払っている人だが、5年前に3か月連続で税金等の滞納があったが完納した。その後、支払い遅れが一度もない方が創業融資申請を行う場合。
△ この場合、完納から5年程度経過しているため、創業融資の審査への影響はない可能性が高いとみていいでしょう。
例3)毎月末日に税金等を支払っている人が、転職によって給料日が25日から翌月5日となったため、収入と支払いのタイミングがずれ、3か月連続で支払いが遅れてしまったが、その後3か月で完納。完納翌月に創業融資申請を行う場合
▲ この場合、「この人は収支管理ができない人だな」と判断され、創業融資審査において否決となる可能性が高くなります。
このように、完納していても、過去の滞納が審査に影響します。
完納後、過去の滞納状況、納付時期、納税証明書・その他確認資料・対策方法等によって、追加の説明が必要になる場合もあります。
税金を分割納付・分納している場合
一度に納付できず、税務署や自治体に相談して分割納付している場合もあります。
この場合、毎月納付しているからといって、滞納状態が解消されたわけではありません。
また、国税通則法・国税徴収法等に基づく正式な猶予制度が適用されている場合と単に分割で支払っている場合、どちらも滞納解消に至っていません。
そのため、「分納を続けているから問題ない」と自己判断することは避けましょう。
融資申込み前に、残っている滞納税額や現在の納付状況を把握しておくことが大切です。
税金滞納があると日本政策金融公庫は利用できない?

現在も税金を滞納している場合
税金を現在滞納している場合、融資審査は原則否決となります。
ただし、税金の種類や滞納状況、滞納解消の見込み、利用する融資制度の条件等によっては審査を進められる場合もありますが、個別に細かく精査する必要があります。
税金を完納すれば日本政策金融公庫の融資を受けられる?
滞納していた税金を完納すれば、現在の滞納状態は解消されます。
しかし、税金を完納すれば必ず創業融資の審査に通るわけではありません。
最低限の要件の一つを満たしたにすぎず、自己資金、事業に関する経験、創業計画、返済見込み等についても審査されます。
また、完納により手元資金が大きく減少する場合、創業に必要な資金が不足したり、資金が足りるのかと面談で指摘される可能性があります。
納税証明書等による確認
融資の申込みにあたっては、申込者の状況等に応じて、確定申告書や決算書、納税証明書等の資料が求められる場合があります。
必要な書類は、申込者の状況や申込み内容によって異なります。
納付時の領収書(控え)は必ず保管し、申込み時には、必要に応じて納税証明書を取得しましょう。
信用保証協会付き等自治体の制度融資の選択
信用保証協会付き融資などの自治体の制度融資でも、税金の滞納が審査や利用条件に影響します。
都道府県や市区町村の制度である以上、税金の滞納は関連すると考えて差し支えありません。
< 税金滞納が原因で日本政策金融公庫が否決になった場合 >
日本政策金融公庫 否決
↓
税金完納
↓
完納後の各種対策
↓
信用保証協会付き金融機関融資申請
税金滞納が解消できたあと、資料の整理・確認その他各種完納後の対策を実施し、信用保証協会付き融資申請に臨むという選択肢もあります。
家賃・公共料金・その他生活維持費の支払い遅れ

創業など事業が安定しないうちは、事業と生活は不可分一体となるケースがあるため、申込者本人の資金管理状況を税金とは別の視点で審査時の確認材料とする場合があります。
家賃・公共料金・その他生活維持費の滞納
例えば、以下のような支払いがあります。
- 家賃・住居費:住居や事業用物件の賃料、住宅ローン
- 公共料金:電気・ガス・水道料金等
- その他生活維持費:保育料、マンションの管理費・修繕積立金等
継続的な支払いがある場合において、支払い遅延が発生・継続している場合、「生活の資金が安定しないのに、事業を始めて大丈夫なのだろうか」と、創業後の固定費負担について懸念されることがあります。
ただし、家賃や公共料金の滞納が、税金滞納と同じ厳格な基準で判断されるわけではありません。
支払い遅れがあるという事実だけで、必ずしも、創業融資の審査で否決となるわけでもありません。
どの支払い遅れが問題になりやすいか、細かく検討しておくことが望ましいです。
個人信用情報に関する注意点
例えば、公共料金やその他生活費のうっかり未払いを防いだり、支払いの手間を省いたりするために、クレジットカードで支払いをしている方も多くいらっしゃると思います。
クレジットカード支払いにて生活費の未払いが起きると、「生活関連の未払い」のほか、「個人信用情報に延滞として登録」される二重の危険があり、創業融資の審査の影響が懸念されます。
また、スマートフォンの分割払いの未払い、家賃の未払いは、個人信用情報に関係する場合もあります。
個人信用情報については、別解説記事である審査時にCICやJICCなどの個人信用情報を見ない?ブラックリストの影響|創業融資が否決になる理由をご参照くださいませ。
FAQ税金滞納・支払い遅れのよくある質問
創業融資申込み前に確認しておきたい疑問をまとめました。
- 税金を滞納していると日本政策金融公庫の創業融資は利用できませんか?
- 日本政策金融公庫では、税金を滞納していると原則否決となります。ただし、申込みの可否や審査上の扱いは、利用制度や滞納状況、完納できる状況なのか等によって異なります。申込み前に現在の納税状況と利用条件をご相談くださいませ。
- 過去に税金を滞納していましたが、現在は完納しています。創業融資に影響しますか?
- 完納していても、過去の滞納回数・滞納期間・完納時期等によっては審査に影響する可能性があります。現在も滞納している場合とは区別して考える必要があります。
- 税金を分納中でも創業融資を申し込めますか?
- 申し込んでも、原則否決になります。滞納が解消したことにはなっていないためです。正式な猶予制度の適用状況や融資制度の条件等によっても扱いが異なるため、申込み前に確認する必要があります。
- 国民健康保険料を滞納しています。創業融資の審査に通過できますか?
- 審査落ちする可能性があります。国民健康保険「料」は、税金ほど厳格ではありませんが、税金に近い性質であるため審査は厳しいものとなります。ただ、滞納回数・滞納期間、完納できるか否か、完納後の審査対策が可能かによって、創業融資申請をするか否か検討の余地があります。
- 水道光熱費の支払い遅れがあります。創業融資の審査に影響はありますか?
- 創業融資申請をされる方は、開業後の事業が安定していないため、個人の生活と一体とみられることがあります。水道光熱費の未払いがある=借入金が生活費に回って、事業継続に悪影響を及ぼすと評価され、審査に影響がある可能性があります。
- 家賃を滞納しました。創業融資が否決になることはありますか?
- 上記水道光熱費同様、生活と一体であると判断されれば、水道光熱費に比して金額が高いことも相まって、悪影響は避けられません。また、家賃保証契約等を利用している場合は、保証会社によっては、個人信用情報への影響も併せて確認が必要です。
まとめ|税金滞納による否決を予防・完納後の対策

税金の滞納や家賃・公共料金等の支払い状況は、完納後に至るまで、創業融資の審査に影響する場合があります。
– この記事のまとめ –
- 税金の滞納は創業融資の否決につながる重要な要因
- 過去の税金滞納状況・完納後の状態によっては審査に影響する
- 国民健康保険料や国民年金保険料等の未納状況も確認する
- 公共料金・スマートフォン端末の分割払い等に未納がないか確認する
- 家賃保証会社・生活費のクレジットカード払いは個人信用情報と関係する場合がある
税金完納後にとるべき対策
完納後は、完納後の創業融資審査に向けた対策が必要です。
- 過去の滞納回数・期間・完納時期についてどう説明するか
- 完納によって自己資金が減少し、開業資金に不足が生じていないか
- 現在の状況で創業融資の申込みを進めるべきか、時期を見直すべきか
申込み前に、過去の滞納状況・完納後の状況と現在の資金状態を確認し、創業計画・返済見込みとの整合性を検討することが大切です。
創業融資の申込みは、否決されてからでは遅い
税金を完納した後も、申込み「前」の確認・対策が重要
税金滞納・完納後の創業融資申請に不安がある方はご相談ください
「過去に何度も税金を滞納したことがある」
「税金は完納したけれど、今申し込んでも大丈夫?」
「完納後、どのような対策が必要なのかわからない」
行政書士e-LOOP法務事務所では、過去の滞納状況や完納後の資金状態を踏まえ、創業融資申請の時期・自己資金・資金計画・創業計画等を含めた申請準備についてご相談いただけます。
支援内容・料金・進め方については、戦略型創業支援コンサルティング-創業融資相談・申請サポートをご確認ください。