Web担当者は雇用契約・フリーランス・外注のどれがよい?|中小企業の費用と判断基準
Web担当者は、採用・フリーランス・外注のどれがよい?
「Webを社内で回せるようにしたい」
「Webに詳しい人を一人採用したい」
「必要なときだけ外部へ頼むほうが費用を安く済む?」
Web集客の体制を考えるとき、単純に月給と外注費だけを比べても適切な答えは出ません。必要な専門領域、社内に残したいノウハウ、業務量、担当者が不在になった場合の継続性まで含めて判断する必要があります。
それぞれの判断基準
- 継続的な業務が十分にあり、Webを自社で機能するように育てたい会社は、正社員採用
- 社内に指示・判断できる人がおり、一部だけ外部に任せたい会社は、フリーランスの活用
- 複数分野をまとめて任せたい会社や、まだ業務量が読めない会社は、Web事業者への外注
この記事では、正社員採用、業務委託、フリーランス、クラウドソーシング、Web事業者への外注を、次の5つの軸で比較します。
- 実際にかかる総コスト
- 対応できる業務範囲
- ノウハウが社内に残るか
- 業務を継続できるか
- 契約・権利・情報管理のリスク
執筆・監修:行政書士 𠮷岡 秀充
最初に整理したい「内製」と「外部活用」の違い

正社員を採用する最大の意味は、単に作業者を確保することではありません。経験・判断基準を養うことでノウハウを蓄積し、Web集客を自社の機能として育てられることにあります。
一方、外部活用の利点は、必要な専門性を必要な期間だけ利用しやすいことです。業務量がまだ安定していない段階や、SEO、デザイン、広告、動画など部分的に活用したいときに、又は必要に応じてスポット利用・継続利用するといった様々な選択が可能です。
Webの仕事は一職種ではありません。たとえば、Webマーケター、Webディレクター、デザイナー、エンジニア、ライター、SEO担当者、広告運用者・動画クリエイターは、それぞれ異なる専門領域です。
一人ですべてを高い水準で担当できるケースはほとんどありません。
当事務所での実務経験から
代表者は過去に自動車関連事業を経営していました。
車の仕事でも、自動車の販売・買取(営業)、車検・修理(自動車整備士)、板金(自動車板金工)、塗装(自動車塗装工)は別の専門職であり、すべての専門職に精通している人材はほぼ存在しません。
Webも同様に、「Webに詳しい一人」を採用すれば解決するということはありません。採用前に、実際に必要な職種を精査して見極めてから雇用することが重要です。
5つの選択肢を比較

| 選択肢 | 特徴 | 向いている依頼 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 正社員 | 雇用契約を結び、従業員として継続的に業務を担当する | 日常的な更新、社内調整、長期的なノウハウ蓄積。外注には厳しい「付随する業務」まで対応可能 | 採用・教育に費用と時間がかかる。必要な専門領域と本人の経験が合うとは限らない |
| 業務委託 | 仕事の完成や業務の遂行を外部へ依頼する契約形態の総称。いわゆる「外注」 | 期間での継続契約(準委任)や成果物の納品を区切りとした契約(請負) | 業務範囲、検収、追加費用、権利、再委託の定めなど契約で細かく定めることが大切 |
| フリーランス | 個人の専門家へ直接依頼する | 記事制作、デザイン、広告運用など専門分野が明確な業務 | 対応範囲と稼働可能時間が個人に依存する。 |
| クラウドソーシング | プラットフォームを通じて単発・小口で発注する | 仕様が明確な定型作業や試験的な発注 | 発注者側に仕様作成、品質確認、進行管理の力が必要。依頼可能範囲が部分的となることがある。高精度のもの制作できない場合も。 |
| Web事業者 | 法人またはチームへ複数業務をまとめて依頼する | 戦略、制作、SEO、分析などを横断する業務 | 契約期間、担当者、再委託、データの帰属、解約時の引き継ぎを確認する |
「業務委託」「フリーランス」「外注」は、並列の概念ではありません。
クラウドソーシング・フリーランスやWeb事業者へ業務委託契約で発注することが外注となります。「業務委託」と「雇用契約(正社員・アルバイト・パートなど)」といった契約形態で分けて考えると、比較しやすくなります。
月額ではなく年間総コストで比べる

正社員の月給と外注の月額料金だけを比べると、判断を誤ることがあります。比較するときは、同じ期間・同じ業務範囲にそろえて総コストを計算します。
正社員の年間総コスト
(月額給与×12か月)+賞与+会社負担の社会保険料+採用費+教育費+PC・ツール費+管理工数
その他別途交通費・外部研修費・残業代など固定費+変動費
外注の年間総コスト
初期費用+月額費用・案件費用+追加作業費+社内の窓口・確認工数
その他個別の業務委託契約内容
重要なのは、比較条件をそろえることです。正社員一人と、SEO・制作・広告を担当する外部チームを比べる場合、人数ではなく「どの業務を、どの水準で、どれだけ実施するか」をそろえます。
金額例を掲載する場合の注意
採用単価、給与、社会保険料、外注料金は、職種、地域、経験、契約範囲によって変わります。「一般的に○万円」と断定せず、使用した統計の名称・調査年・対象を示してください。自社の見積り例を載せる場合は「当事務所の試算条件」と明記します。
採用が向く会社・外注が向く会社の比較

| 正社員採用が向く会社 | 外注が向く会社 |
|---|---|
| Web業務が毎月安定して発生する | 業務量が不明確で把握しきれない・確定できない |
| Webを自社の中核機能として育てたい | 必要な期間や施策が限られている |
| 教育・評価できる管理者が社内にいる | 社内にWeb専門職を置くための人件費に余裕が無い |
| 社内情報への迅速なアクセスが欠かせない | 戦略から実行まで一定範囲を任せたい |
| 外注費を抑えたい | 固定費を増やす前に成果や業務量を検証したい |
採用と外注は二者択一ではありません。社内担当者が方針決定と情報提供を行い、専門作業を外部へ依頼する「併用型」も現実的です。ノウハウを社内に残しながら、専門性と作業量を補いやすくなります。
フリーランス・クラウドソーシングが向くケース

フリーランスやクラウドソーシングは、安いか高いかだけで評価するものではありません。依頼内容を明確にできる会社にとっては、有効な選択肢です。
活用しやすいケース
- 制作するものと納期が具体的に決まっている
- 社内にディレクションと検収ができる人がいる
- まず小さく発注して相性を確認したい
- 一つの専門分野ごとに依頼したい
慎重に判断したいケース
- 何を依頼すべきか自社でも決まっていない
- 複数施策の優先順位から提案してほしい
- なんかよくわからないからとにかく外部に依頼したい
- 個人情報や営業秘密を広く取り扱う
それぞれの見落としやすいリスク

正社員採用のリスク
- 必要な専門性と採用した人の得意分野が一致しない
- 面接時に適性を見極めることが非常に困難
- 一人担当では退職・休職時に業務が止まる
- 正確に評価できる上司がいないと、作業量だけで判断しやすい
- 採用後も教育、ツール費用が発生し、結局外部専門家への費用が発生することがある
外注のリスク
- 作業内容が見えにくく、社内にノウハウが残らない
- 契約外の作業に追加料金が都度発生する
- 制作物、アカウント、計測データの権利関係が曖昧になることがある
- 再委託により、実際の担当者や情報の共有先が見えにくくなる
どちらのリスクも、体制構築と契約内容によって軽減できます。正社員であれば属人化を防ぐ業務手順の文書化と複数名での共有、外注であれば成果物・権限・報告方法・解約時の引き継ぎを明文化することが重要です。
外注契約前に確認したいチェックポイント

- 業務範囲:どの範囲で、どんな内容を依頼するか
- 成果物:記事、画像、Webページ、動画、レポートなど何が納品してもらうか
- 料金:月額内の作業or成果物の料金、追加料金、最低契約期間、解約条件等
- 権利:著作権、編集データ、ドメイン、サーバー、広告・解析アカウントの名義
- 情報管理:秘密保持、個人情報、アクセス権限、退職・契約終了時の削除
- 再委託:再委託の有無、範囲、責任の所在
- 報告:頻度、指標、担当窓口、改善提案の方法
- 引き継ぎ:解約時に受け取れるデータ、形式、期限、費用
Web制作や運用を外注する場合、料金以外にデータと権限の扱いが重要です。契約終了後も自社がドメイン、サーバー、Google Analytics、Search Console、広告アカウントへアクセスできる状態にしておきます。
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迷ったときの判断手順

- 現在行っているWeb業務をすべて書き出す
- Web業務とその他業務(パソコン設定回りや事務作業など)を混同しない
- 今後12か月に必要な作業量を見積もる
- 必要な専門職を把握し、丁寧に業務内容を分ける
- 社内に残す判断業務と、外部へ出せる作業を分ける
- 採用・外注・併用の年間総コストを同じ条件で計算しておく
- 担当者が不在になった場合の継続方法を決めておく
- フリーランスやクラウドソーシング依頼する場合は適合性を確かめる
判断の出発点は「誰に頼むか」ではなく、「どの仕事が、どれくらい必要か」です。
また、中小企業が正社員を採用する際「Webはなんかよくわからないからまとめてお願いしたい」というケースが見られますが、業務量過多による退職リスクや属人化リスクへと繋がりますので注意する必要があります。
FAQよくある質問
Web担当者を採用・外注のどちらにすべきか迷う社長さんから、よくいただく質問をまとめました。
- 正社員と外注は、結局どちらが安いですか?
- 業務量と必要な専門領域によります。継続的に一人分以上の業務があり、社内で教育・評価できる場合は、長期的に採用が合理的になることがあります。複数分野を少量ずつ必要とする場合や業務量が変動する場合は、外部活用が適することがあります。月額ではなく年間総コストと対応範囲をそろえて比較してください。
- Web担当者を一人採用すれば、すべて内製できますか?
- 必ずしもできません。Web制作、SEO、広告、分析、ライティングなどは異なる専門領域です。採用前に必要な仕事を分解し、候補者の経験と一致するかを確認する必要があります。
- 外注するとノウハウが残らないのではありませんか?
- 報告書、手順書、会議、社内担当者との共同作業を契約に含めることで、一定の知識を残せます。ただし、完全な丸投げでは社内に判断基準が蓄積されにくいため、社内に窓口担当者を置くことをおすすめします。
- 安価なフリーランスへ依頼しても問題ありませんか?
- 価格だけでは判断できません。得意分野、実績、稼働時間、連絡方法、秘密保持、権利、納品後の対応を確認してください。最初は範囲を限定した発注で品質と相性を確かめる方法があります。
- 外注先を変更するとき、データや成果物は受け取れますか?
- 契約内容によります。契約前に、成果物の権利、編集可能データ、アカウントの名義、解約時の引き渡し対象・形式・期限・費用を明確にしてください。
- 貴事務所では社内体制構築のお手伝いをお願いできますか?
- はい、可能です。外注と内製化の併用方法~完全内製化まで複数プランをご用意しており、中小企業に対応しやすいプラン内容となっております。詳しくはSEO内製化支援 – 失敗しないインハウスSEO体制構築をご覧くださいませ。
まとめ|まずは自社の業務量を書き出すことから

採用か外注かは、どちらか一方が正解というものではありません。
自社にとって「どの仕事が、どれくらい必要か」を先に整理しておくだけで、その後の体制選びで迷うことがぐっと減ります。
– この記事のまとめ –
- 比較は月額ではなく、社会保険・採用費・教育費まで含めた「年間総コスト」でそろえる
- Webの仕事は一職種ではない。必要な専門領域を先に確認しておく
- 継続業務が安定しており、ノウハウを社内に蓄積したい会社は正社員が向く
- 業務量が変動する、個別分野、複数分野で横断したい会社は外注が向く
- フリーランス・クラウドソーシングは、社内にディレクションできる人がいてこそ活きる
- 契約「前」に「業務範囲・権利・情報管理・再委託・引き継ぎ」を必ず確認する
- 採用と外注は併用も可能。無理にどちらかへ寄せない
「Web担当を雇うべきか、外注すべきか迷っている」
「今の外注先が合っているのか分からない」
「内製と外注、自社に合うほうを整理したい」
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