Web会社の乗り換えができない…データをもらえないときの対処法
乗り換えようとしたら、データを渡してもらえない・・・
「別の会社でよいデザインが作れそうだから作り直してもらいたい」
「これからは自社で管理していきたい」
そう思ってWeb会社に連絡したら、「データはお渡しできません」「コードは当社のものなので」と言われてしまった。
実は、同じ状況で困っている方はとても多いです。珍しいことではありません。ホームページ制作を依頼するときに乗り換えを盛り込む人はほぼいませんから――
大事なのは、ここからどう動くかです
この記事では、状況を整理・仮定したうえで、実際にどう動けばいいか——その対処法をできるだけやわらかくお伝えします。
執筆・監修:行政書士 𠮷岡 秀充
引っ越しのときの「持っていけるもの・置いていくもの」

ホームページの乗り換えは、お部屋の引っ越しによく似ています。
引っ越しのとき、自分で買って持ち込んだ家具やお気に入りの食器は、当然、次の家にも持っていけます。でも、最初から備え付けだった照明やエアコンは置いていくことになるでしょう。
自分のものは、持っていける。
借りていたもの・備え付けのものは、置いていく。
「誰のものか」で、持ち出せるかどうかが変わる。
ホームページも、同じような構造です。
ドメイン(住所)、サーバー(土地)、デザインやコード(家具-私物・備え付け)、文章や画像(中の荷物-私物・リース・レンタル)。これらがそれぞれ誰の名義・誰の権利になっているかで、乗り換えのときに「持っていけるもの」と「置いていくしかないもの」が分かれます。
だからこそ、「データをくれない」という状況は、「意地悪しされた」というより——そもそも「持ち出せる契約になっていなかった」、というケースが少なくないのです。
なお、権利そのものの考え方は「ホームページの著作権は誰のもの?制作費を払っても権利は移らない」で詳しく解説しています。
併せて読むと、ぐっと見通しが良くなります。
「乗り換えたいのにデータをくれない」は、実はよくある相談

まず、安心していただきたいことがあります。この悩みは、あなただけのものではありません。
「乗り換えたいのに、動けない」
これは、Web集客・SEO・AIO対策など施策のご相談の中で、話題にあがるお悩みのひとつです。
Web会社の「対応が遅くて困っている」「料金が見合わない気がする」「このまま契約していても成果が出る気がしない」——理由はさまざまですが、いざ別のWeb会社に変えようとした瞬間に、はじめて壁の存在に気づく。そういう順番で起きることがほとんどです。
ふだんは、何も問題は起きません。だからこそ、運用中は気づきにくい。「変えようかな~」と、思った“そのとき”に、はじめて顔を出す——それがこの問題のやっかいなところです。
ここで大切なのは、自分を責めないことです。契約のときに「将来、乗り換えるかもしれないから移管条件を……」とまで考える方は、むしろ少数派です。気づいていなかったのは、ごく自然なこと。まずは「何がどうなっているのか」を、いっしょに整理していきましょう。
なぜ”動けない状態”が起きてしまうのか

現代においてあまり見かけなくなりましたが、一部のWeb会社では囲い込みを行い、顧客流出を防ぐ対策をとっています。
「動けない」には、だいたい決まった原因があります。ひとつずつ見ていくと、自分のケースがどれに当てはまるかが見えてきます。
ドメイン・サーバーが制作会社名義になっている
ホームページの“住所”にあたるドメイン、“土地”にあたるサーバー。これらがWeb会社の名義で取得・契約されていると、引っ越しの自由度が大きく下がります。
ドメインが相手名義だと、同じURLを持っていくときに「移管」の手続きが必要になります。サーバーも相手の契約の中に間借りしている状態だと、データの取り出しに相手の協力が欠かせません。
悪気なくこのようなケースとなっていることも多いのですが、結果として「住所土地の権利を相手が持っている」状態になりやすいポイントです。
ソースコードやデータの所有があいまい・記載が無い
サイトを動かしているプログラム等のソースコードや、これまで積み上げてきた記事・画像などのデータ。これらを「誰が、どの範囲で使ってよいのか」が契約で曖昧又は記載が無く、決まっていないと、渡す・渡さないが相手の判断にゆだねられてしまうケースがあります。
「お金を払ったのだからもらえるはず」と感じても、支払いはあくまで“作ってもらう”ことへの対価。データやコードを持ち出して利用できるかは、また別の取り決めが必要——という点は、ホームページの著作権は誰のもの?の記事でお伝えしたとおりです。
契約に「解約・移管」の取り決めがない
契約を終了することを想定していないからか、特に多いのが、契約書に“出口”が書かれていないパターンです。
始めるときの内容(料金・納期・作業範囲)は丁寧に書いてあるのに、「やめるとき」「他社へ移すとき」に何をどう引き渡すかが、ぽっかり空白になっている。
すると、いざ解約というときに「決まっていないから、その都度の交渉」になり、話が前に進みにくくなります。出口の地図がないまま、出口を探している状態——これが“動けない”の正体であることが多いです。
囲い込みが起きやすい契約のかたち

すべての制作会社が“囲い込み”を狙っているわけではありません。ただ、結果的に依頼事業者は動きにくくなりやすい「契約のかたち」となっている傾向にあります。お手元の契約をそっと見てみてください。
保守にすべてが紐づく”サブスク一体型”
月額の保守費用の中に、ドメイン・サーバー・更新作業・データ管理まで、ぜんぶがまとめて入っているかたちです。
便利な反面、解約=すべてが止まるになりやすい構造でもあります。月額を払い続けているあいだは快適でも、やめた瞬間にサイトごと使えなくなる——という設計になっていないか、ここは確認しておきたいところです。
「丸ごとお任せ」と「丸ごと相手に握られている」は、紙一重のことがあります。
当事務所もこのサービスはご依頼事業者が困らないようにとサービスとして取り入れています。当事務所のホームページ制作サービスは、ホームページ納品後の権利関係を明確化しています。
著作権・データが制作会社側のまま
デザイン・コード・文章といった中身の権利が、制作会社にとどまったままになっているパターンです。
この場合、たとえデータを受け取れたとしても、自由に作り変えることには、別の権利の壁が出てくることがあります。とくに「自分の意に反して改変されない」という著作者人格権は、譲ることができず、かつ、放棄もできない権利なので、このケア(著作者人格権の不行使)がなされているかは大きな分かれ目です。
権利まわりの整理は、ホームページ制作・実装ページの権利関係セクションでも、考え方をまとめています。
自分だけで動けるもの・制作会社の協力や同意が必要なもの

正直にお伝えします。自分だけで動かせるものは、ほとんどありません。これが現実です。とはいえ、何が自分で動かせて、何が相手の協力なしには動かせないのかを知っておくだけで、次の判断がぐっとラクになります。
| 対象 | 誰が動かせるか | ポイント |
|---|---|---|
| 自分名義のドメイン(URL) | ◎ 自分だけで動かせる | 自分名義なら最初から自分のもの。そのまま自分で管理・運用できる。 |
| 自社で用意した素材・文章 | ◎ 自分だけで動かせる | 自社撮影の写真、自分で書いたテキストなど、そもそも自分で保有している。自分が著作権を持つものは自由に使える。リサイズ・トリミング等の創作性の無い簡易加工なら著作権問題とならないケースもある。 |
| 制作会社名義のドメイン | △ 相手の承認が必要 | 移管には相手の承認・認証情報の提供が必要。勝手には動かせない。ドメインの移管はダメとは言われないケースが多いです。 |
| 制作会社契約名義サーバー上のデータ | ✕ 相手の協力が必要 | 制作会社管理のサーバーに許可なくアクセスしてデータを取り出すことは、不正アクセス禁止法に触れる可能性がある。必ず制作会社を通じて対応する。 |
| Web会社制作分のソースコード・デザイン・画像や動画・文章 | ✕ 相手の同意が必要 | 著作権は原則制作した側に発生する。譲渡に関する取り決めがなければ、再利用はできない可能性。 |
自分だけで動かせるのは、自分名義のもの
裏を返せば、ここだけは誰の許可もなく自分で動かせるということです。
サーバー契約・ドメインが自分名義なら、制作会社との関係がどうなっていても、URLという”住所”は自分の手元に残せます。これまで積み上げてきたドメイン評価、間接的には各ウェブページ・ブログ記事・ビジネスプロフィールの評価――
これらは、ドメインを保てれば評価を引き継げます。自社で撮影した写真や自分で書いた文章も、著作権は最初から自分のもの。これらは新しいサイトにそのまま持っていけます。
サーバーのデータは、必ず制作会社を通じて
サーバーがWeb会社の管理下にある場合、許可なくアクセスしてデータを取り出すことは絶対にしないでください。不正アクセス禁止法に触れる可能性があり、トラブルが刑事事件に発展するリスクがあります。データの引き渡しが必要な場合は、必ず制作会社に依頼して、正規の手順で対応してもらうことが前提です。
< まず確認したい2つ >
- サーバー契約・ドメインの名義は誰になっているか(自分/制作会社)
- 自社で用意した素材・文章が切り分けができるか
この2つが分かれば、「自分の手の中に何があるか」がはっきりします。それが、次の動き方を決める出発点になります。
むかついて当然。取り戻すより早い対処法

ここまで読んで、「結局、相手次第となる部分が多いのか」とモヤモヤされたかもしれません。その気持ち、正直に言ってまったく自然です。
データもくれない。説明もはっきりしない。全然進まない――
正直、もう関わりたくない。
——そう感じているなら、ここでひとつ、最終手段としての“対処法”をお伝えします。それは、無理に今のホームページを活用せず、いっそ作り直してしまう、という選び方です。
既存ホームページを何とか使用したい・・・で、止まりやすい
コードやデザイン、文章の著作権を「譲ってもらえませんか」とお願いすること自体は、もちろんできます。高額でなければ著作権を買い取るという道もあります。
「譲ってもらえず交渉を継続」したり、「買取はOKだけど高額」になったり、そもそも「お渡しできません」というWeb会社に時間と気力を注ぎ込んでも、うまく事が進まず、消耗してしまうことが現実にあります。
どうせ労力をかけるなら、新しく作り直すほうが早い
そこで発想を切り替えます――
労力を使うなら、嫌な思いをしながらお願いするのではなく、新しい会社で、気持ちよく作り直すことに使う。
しかも作り直すなら、最初から契約内容が良いWeb事業者と契約するという選択ができます。
データの引き渡し、権利の所在、移管の条件——前回モヤッとした部分を、今度はぜんぶクリアにしてスタートできる。
「捨てる」というと損に聞こえますが、実際には今後ずっと自由に動かせる資産を、新しく手に入れ直すことに近いのです。
– ココだけは、頑張ってほしい –
ドメイン(URL)だけは、できる限り手元に残してください。これまで積み上げてきたGoogleなどの検索上の評価は、ドメインに紐づいています。中身を新しく作り直しても、同じドメインを保てれば、その実績は引き継げます。
“作り直し”が向いているケース
- データの引き渡しを断られ又は渋られて、話し合いが平行線
- 現Web会社への不信感が強く、これ以上関係を続けたくない
- そもそも今のサイトに成果が出ておらず、作り変えたい気持ちがある
ひとつでも当てはまるなら、新たにホームページを作るのほうが、結果的に早くてスッキリすることが多いです。
Agnostic
これから頼む人が”囲い込まれない”ために

ここからは、これから制作を依頼する事業者様向けのお話しです。2点、大事な内容です。
ドメイン・サーバー契約は自分名義で取る
できれば、ドメインとサーバーは自分(自社)の名義で契約しましょう。少し手間に感じるかもしれませんが、ここが自分名義なら、いざというときの“鍵”を自分で握ることができます。Web会社にお願いする場合でも、「レンタルサーバー契約・ドメイン取得の名義は当社で進めてください」と伝えておくだけで、将来困る可能性を減らすことができます。
契約前に著作権について確認する
契約書に目を通し、著作権(権利関係・著作権の帰属・知的財産権の帰属など)について確認しましょう。明確な記載があれば問題ありませんが、確認はします。明記が無ければ、契約書に記名押印または署名する前に聞いてみてください。
「将来、自主管理できそうになったときに、すべてのデータを引き渡してもらえますか?」この一言で、相手の姿勢がよく分かります。
データの引き渡し、著作権の扱い、解約後の対応——ここを気持ちよく説明してくれる会社は、信頼度が上がります。逆に、ここで言葉を濁されたり「うちはお渡ししていません」と即答されたら、その時点で立ち止まって検討する材料になります。
著作権に関する確認事項は契約書でここだけは確認したい3点/ホームページの著作権は誰のもの?ページに記載があります。
「入口の時点で自分名義にするもの・契約確認・今後どのように進めることができるかの確認する」。これだけで、将来のホームページ自由度はまるで変わります。
行政書士e-LOOP法務事務所さんではどうしている?
当事務所のサービスでは、納品後の権利関係を明確化/ホームページ制作サービスに記載のとおり、著作権はどちらに帰属するのかを明確にしたうえで、ホームページ制作のご依頼を承っております。依頼事業者様・当事務所双方の予防法務として機能します。
当事務所の代表は、日本行政書士会連合会指定の著作権相談員養成研修を修了し、所定の効果測定に合格した「著作権相談員」です。そして、行政書士として法令・予防法務に関して丁寧な対応を心掛けております。
FAQよくある質問
ご相談の中で多かった質問をまとめています。
- データが欲しいけど契約上渡せないそうです。何か方法ありますか?
- 状況によりますが、著作権をゆずってもらう・買い取る話し合いをする方法が考えられますが、応じるかは相手次第となります。Web会社との話し合いが進まず、不信感が強いなら、新規Web会社で新しいホームページを作成するほうが早くてスッキリすることが多いです。労力・気力の消耗を抑えることができます。ただ、ドメイン(URL)だけは手元に残すことをおすすめしております。これまでの検索評価を引き継ぐことができるためです。
- ドメインが制作会社の名義です。渡してもらうことは可能ですか?
- 原則として「ドメインの移管」という手続きを行ってくれるケースが多いです。相手の協力(認証情報の発行など)が必要になりますが、Web会社がそのまま保有しても何も起きないため、応じてくれることが多いです。料金が発生するか否かは要確認です。
- 「コードはWeb会社のもの」と言われました。これは普通のことですか?
- めずらしいことではありません。契約書に明確な記載があったり、そもそも取り決めが無ければ、著作権は原則「作った側」に発生するため、譲渡の取り決めがなければ制作会社にとどまっていることが一般的です。譲渡・利用範囲などを確認の上、別途の合意(費用がかかることも)が必要になります。
- 囲い込みされない契約かどうか、契約前にどう見抜けばいいですか?
- 一番単純な方法は、契約前に「将来、他社へ移すときに何を引き渡してもらえますか?」と一度たずねてみることです。ここを気持ちよく説明してくれるかで、相手の姿勢が見えます。「そんなことは契約前に聞けない」という場合は、契約内容の確認が必要です。契約書にドメインやサーバー関連・著作権・解約の条項など細かい確認しておく必要があります。
- 乗り換えるとき、検索順位(SEOの実績)はリセットされてしまいますか?
- 同じドメインを保てれば、これまでの実績は基本的に引き継げます。逆にドメインを手放して新しいURLで作り直すと、評価は積み直しに近くなることがあります。だからこそ、ドメインを自分の手元に残せるかが、乗り換えの大事なカギになります。他にも方法はありますが、Web会社の協力が必要になるため、拒否されたら何もできなくなります。
- これからホームページ制作を依頼します。確認すべきことはありますか?
- ①ドメイン・サーバーを自分名義で取得する、又は、Web会社に依頼企業の名義にするようお願いしておくこと。②著作権の譲渡等・利用範囲を明記すること。③気になる点はしっかり掘り下げて質問、的を得た回答が来るかどうか——この3点を契約段階で押さえておけば、将来的な流れはぐっとラクになります。気になる点は、契約締結の前にご相談いただくことで安心できます。
- 行政書士e-LOOP法務事務所さんに頼むと、乗り換えはどうなりますか?
- まず乗り換えが可能か否か状況を整理します。できる部分から手続をお願いし、順次進めていきます。もし、現Web会社が一切乗り換えに応じない場合は、新規サーバー契約・ドメイン取得からホームページ制作をお勧めする可能性があります。まずは現状についてご相談いただければと思います。
- 行政書士e-LOOP法務事務所さんから他社へ乗り換えするのはやはり厳しいでしょうか?
- いいえ、問題ありません。乗り換えのご要望があったときに、契約時の内容及び勝ち筋を探すWeb施策一覧/Web集客代行ページに関してご説明し、納得いただければ乗り換えに協力します。強引な引き留めやうやむやにしての囲い込むなどは行政書士としての信頼性にもかかわるため、一切行っておりません。
まとめ|頑張らない――作り直すという選択

ここまで読んで、「思ったより、確認すること・できることがあるんだな」と感じていただけたなら嬉しいです。
「動けない」の正体は、たいてい契約の時点にあります。だからこそ、現Web会社の協力を得られなければ、余計な労力をかけず、心機一転ホームページを作り直す——これが、いちばん早くてスッキリする対処法となることがある――
– この記事のまとめ –
- 「乗り換えられない」はよくある悩み
- 原因は、契約時にある
- ドメインは移管可能であることが多い
- コード等著作権にかかるものを他社で使えるかは契約次第
- 状況により、ホームページを作り直すほうが良いケースがある
- 契約時の確認で「囲い込み対策」・契約解除困難を防げる
「Web事業者に依頼して嫌な思いをした」
「囲い込み対策をしておきたい」
「ホームページを新規制作したい」
そんな経験や不安をお持ちでしたら、ぜひ行政書士e-LOOP法務事務所へ一度ご相談ください。
ホームページ・施策のご相談
「今のホームページを、どこまで自分で動かせるのか分からない」——そんな状態からのご相談もOK。現状の切り分けから、次の制作、その先の売上アップに至るまでご相談承ります。
行政書士 × ホームページ制作・その他さまざまな施策で、貴事業“総合的に”を支えます。丸投げOKのWeb集客代行 – 売上アップ・収益の仕組み化設計にて、制作からSEO・MEO・AIOなどの各種施策、契約・権利を含む予防法務(すべてのサービスに標準付帯)までご相談いただけます。
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